撮影ルールとマナーを学ぼう、肖像権とは?
はじめに
現在は、スマホにもカメラが付いているので、誰でもいつでも気軽に写真を撮れるようになった。そして、それをSNS等で広く発信できるようになっている。だからといって、いくらでも自由に撮影して発信して良い訳ではなく、そこにはルールが存在するのだ。自分が今後、ルールを外れることなく適切なカメラライフを送るためには、それを学ばなくてはならない。
ということで、関連書籍、インターネットからの情報をもとに、調べたことをまとめてみた。
ちなみに、インターネット上に無断で写真等を公開し、他人に迷惑を与える行為を「フォトハラ」と呼ぶらしい。
<目次>
肖像権とは?
「肖像権」とういう言葉を聞いたことがあるだろうか。写真を撮影する者ならば、覚えておきたい言葉だ。確か、自分も中学校の公民の時間に習った記憶がある。
肖像権とは、法律で明文化されているわけではなく、判例上認められている権利。そして、プライバシー権とパブリシティ権にわけられる。
プライバシー権(人格権)
他人から無断で撮影されたり公表されて利用されないように主張できる権利
パブリシティ権(財産権)
肖像を提供することで対価をえる財産権の側面もある。芸能人やプロのモデルさん等の肖像を、商業的に使用する権利。
なんとなくわかるが、全てを禁止してしまうと、撮りたい写真も撮れなくなってしまう。そのため、撮影するにあたって、肖像権の侵害にならないケースとして次の例があげられる。
- 被写体の同意がある
-
人物の特定ができない
- 公の場所・公の行動(デモやパレード、祭り、公人の演説)
- 被写体にマイナスにならない
撮影場所・被写体に応じた、それぞれのルール、マナー
施設内での撮影(神社、博物館、美術館、学校、企業等)
公設・私設限らず他人の私有地内には、施設管理者が存在するはず。そして施設管理者は、管理している施設でのルールを定めることができる。 例えば、施設の中を完全に撮影禁止にしたり、一部の部屋だけを撮影禁止あるいはストロボを禁止にしたり等。
また、レストランで料理を撮影する場合。料理そのものには著作物は発生しないので、本来自由に撮影して良いことになるが、レストランを運営する側が、それを良しとしなければ、少なくとも、そのレストランの中で料理を撮影できないことになる。 逆に、料理を拡散してもらうことは良い宣伝になるといった考えをもつ施設管理者であれば、撮影を推奨することもあるだろう。
ただし、施設云々の前に、撮影行為が他の客に迷惑になる行為や、プライバシーに配慮しない行為は避けるべきだ。
商業施設での撮影
前述の施設内での撮影とほぼ同じであるが、最近は店内撮影OKの掲示をよく見かける。100均のダイソーや、ヨドバシカメラは撮影しても良いようだ。
公道での撮影
私有地以外の公道での撮影は、撮影によって、その場所を占有したり通行の妨げにならない限りは撮影して良いようだ。 ただし、公道から誰かの家の中を撮影する等、プライバシーを侵害する行為は避けなくてはならない。
モデル撮影会(ポートレート)
撮影会なので、撮影することは問題ないはずだ。ただ、撮影して良いのは、あくまで撮影タイムのみで、休憩時間等に勝手にモデルさんを撮影はしてはならない。誰だって気をぬいた時に撮られたくないだろう。
また、SNS等に撮影した写真を掲載する際は注意が必要だ。 まずは、撮影会の主催側に、撮影した写真の取扱ルールについて確認する。主催者側で、SNS掲載を許可するといったルールを定めてくれているのであれば楽である。
だが、「自身でモデルへ確認すること」となっていることが多いのではないだろうか。その場合は、撮影させてもらったモデルさん、あるいはモデルさんが所属する事務所等に確認しよう。
最近では、モデルさんがTwitterやInstagramをしていれば、気軽に確認することができる。 また、撮影した写真データを募集して、モデルさん自身のSNSで写真を公表してくることもあるので、迷惑じゃなければ、撮影した写真データをDM(ダイレクトメール)しても良いだろう。また、肖像権使用許諾書いわゆる「モデルリリース」を作成する場合もあるようだ。
キャラクター物、広告物
版権があるから気をつける。構図の主役になっていればアウト、それ以外はセーフ等、色々な考えがあるらしいので、SNSにアップする場合は、版権元に確認した方が良いかも。
祭り等のイベント、公人の演説等
基本的に見世物であるため、撮影禁止にしていなければ、撮影して良いだろう。ただ、参加者の1人をクローズアップした場合は、撮影した写真を公表する場合は本人の承諾が必要となる場合がある。撮影する対象が10人ぐらい等、個人が特定していないような画であれば、良いだろう。
政治家、公務員等の公人は、一般人よりも肖像権が限定されているらしいが、自由に撮っていいわけなくケースバイケースとのこと。
観光地、風景、鉄道
有名な撮影スポットには大勢のカメラマンが詰めかけるが、カメラマンの振る舞いが、現地の人から非難を浴びることもある。 カメラマンは、撮影させてもらっているくらいの気持ちを持ち、他の観光客の迷惑にならないように気をつけたい。
現地でお金を落とせば、現地の人からも歓迎されるのでは。
子どもの撮影
児童ポルノ禁止法は、ものすごく厳しいらしい。子ども本人、保護者の承諾を得ていたとしても、他人の子どもが裸で写っているような画は撮らない方が良いだろう。 その写真を所持しているだけで、いろいろと面倒らしい。本当かいな?
写真コンテストへの応募
募集要項を注意深く読んでみるべき。応募した写真の権利が主催側に全て帰属するような要項となっていないだろうか。大事な作品の権利がうばわれないよう、注意したい。
まとめ
こうやってまとめてみると、色々面倒な気がするが、1番大事なポイントは「写される側がどう思うか」ではないかな。
自分は撮影することは大好きであるが、撮られるのは絶対に嫌という人間。だからこそ、他のカメラマン以上に、ルールはしっかりと守っていきたい。 少なくとも、次のことは心がけたい。
- 施設内では、そもそも撮影してよいのかを事前確認する。
- モデル撮影会では、モデルさんに撮った写真をSNSに掲載してよいか確認する。
- 観光地では、礼儀正しく、そして現地ではお金を落とす。
ルールとマナーさえ守れば、堂々と遠慮なく撮影できるのだ。また、良い写真を撮影してもらい拡散することを喜ぶ人もいる。撮影者、撮影される側、どちらもWIN-WINの関係になれればと思う。