不幸の連鎖を断ち切るには、どうすればよいのだろうか。
今年の春、海岸で休んでいたところ、可愛らしい子猫が近づいてきた。
ここの海岸は、地域の人たちが世話をしている猫たちが暮らしている。 何度か訪れているので、どんな猫がいるのかはだいたい把握しているつもりだ。
ところが、この猫、初めてみる。地域猫の象徴でもある耳がカットされていないので、捨て猫であろうか。
そして、この猫が、やけになついてくるのだ。飼い主でもない自分に。
人間の赤ん坊は、一人では生きていけない。 だから、どんなに酷い親であろうが、必死で好かれようと努力するらしい。
おそらくこの猫は、「愛想を振りまけば、餌を与えてくれるかもしれない。そして、もしかすると自分を飼ってくれるかもしれない。」と思って近づいてきたのだろう。
可愛らしい姿で懐いてこられると、何か食べさせてあげたいと思ってしまうだろう。自分も、正直迷ってしまった。
だが、安易に餌を与えるべきではない。いつかしらその場所に居着き、繁殖してしまうことありえる。そうなれば、十分な子育てが出来ず、かえって不幸な命を増やすことにも繋がる。
何かしてあげたいと思うのであれば、責任をもって保護するべきなのだ。
それが出来ない自分が恨めしい。
飼い猫が、いきなり知らない場所へ捨てられてしまう。その怖さは、どれほどのものだろうか。
食べ物、雨風をしのぐ場所、自分で探さなければならない。
病気になることもある。その時はどうれば良いのだろうか。
子猫はさらに大変だ。カラスが力の弱い子猫を襲うことが、度々あるらしい。 生きる術を知らない捨て猫が、満足に生きられる可能性は低い。
こうした不幸を生み出したのは、当然、飼い猫を捨てた人間である。 捨て猫の過酷な生活を想像することができないできないのか。
そして、捨て猫に餌を与えることも、罪である。善かれと思っても無責任に餌を与えることが、不幸の連鎖を生み出しかねないことを認識するべきだ。