カメラ初心者が、象潟港の猫を約1万枚撮影してみて感じたこと。

 

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今年の2月末から象潟港の猫を撮影し始め、3ヶ月ほどが経過。とりあえず自分が定めた目標、撮影枚数1万枚を突破したので、撮影にいたった経緯や撮影時に心がけたこと等を記録として残したいと思う。

 

 

目次

 

 

 

 

象潟港の猫を撮影するようになった理由

 

そもそも、自分が象潟港の猫を撮影するようになったきっかけは、自宅に届いたフリーペーパーの記事である。そこには、象潟港には、地元の人たちの世話によって元気に過ごす猫たちのことがかかれていた。

 

マリ・マリ vol.498.

www.sakigake.jp

 

 

ちょうどその頃の自分は、趣味としてカメラを始めたはいいものの、何を撮れば良いのだろうと困っていたこともあり、その記事を読んだ週末には、象潟港を訪れていた。

そこには、20匹以上の猫とともに、その猫たちを世話する保護会の人たち、そして、港の猫に会いにきている人たちで賑わっている姿があった。(※象潟港の猫は、今は港ではなく別の場所に引っ越している)

 

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(保護会の方々が、猫たちに餌をあげていた)

 

 

 

そして、気がつくと自分の傍らに1匹の猫がいた。

これまで自分が出会ってきた、いや見かけてきた猫は、ちょっとでも近づくとすぐ逃げていくような猫ばかり。自分から人に近寄ってくる猫がいるということに驚いた。試しに、この猫を撮影しようとカメラで撮影してみる。逃げられることを覚悟していたがすんなりと撮らせてもらえた。

この港にいる猫たちのほとんどは、人懐っこいので、撮影する側からすれば、非常にありがたい被写体である。そのおかげで、じっくりと猫の表情まで観察することができる。

そしてすぐ気が付いた。ここにいる猫は、これまで見かけてきた猫たちと表情が明らかに違うことに。

 

野良猫の場合、我々人間は存在は自分のテリトリーを犯す侵入者であるが、象潟港の保護猫からすれば、人間は言ってみれば共存者。この港は保護猫たちの場所でもあり、港を訪れる人間の場所でもある。少なくとも、ここにいる人間は自分たちを脅かす存在ではないと思っているのかもしれない。

 

また、リラックスした猫は、実に様々な表情を見せてくれる。 

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(「そやろか」なんてセリフを発してそうだ。)

 

 

これは面白い。

 

「カメラ初心者は、とりあえず1万枚ぐらい撮影してみよう」何かの本にそう書かれているのを思い出した。

じゃあ、自分はその最初の1万枚を象潟港の猫を被写体にしてみようと決めた。そして、週末になると秋田市から象潟まで出かける日々が始まった。

 

 

 

 

被写体としての猫

 

いくら、ここの猫が人懐っこいといっても、相手は猫。言葉が通じるわけでもない。そして当たり前だが、猫自身が撮影して欲しいと思っているわけではないので、自分が期待する仕草や構図に猫が対応してくれるわけではないのだ。自分が期待するシャッターチャンスをただひたすら待つしかない。

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(カメラを構えたら、寝始めた。)

 

 

猫を撮影する際に餌を与えるカメラマンもいると聞くが、なんとなく自分は抵抗がある。餌を与えれば、少なくとも懐いてはくれるだろう。だが、猫を可愛がりにきているわけではなく、猫を撮影しにきているのだ。(餌を与えている人を撮るのは良いと思うが・・・)

また、猫が必要以上に懐くと、あまりに猫が近づいてくるため、その猫にピントを合わせて撮影するのは難しくなる。適度な距離が必要だ。

 

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(猫が身体にひっついてきた状態。猫好きにはたまらないだろう。だが、この状態で撮影してみたが、ファインダーを覗くのも苦労し、当然であるがピントも合わせられない。よほど焦点距離が短いレンズでないと自分には撮影は無理だ。)

 

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(猫を見かけた。初めて見る猫だ。それ以上近づくことなく、しばらく その場で待つ。)

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(自分に害がないと思ったのだろうか、リラックスし始める。撮影チャンスだ。猫単独ではなく背景も活かせるため、やはり、ちょっと離れているくらいが良い。逆に、猫が慣れていないうちに無理に近づこうとすると、どうやら猫に嫌われるらしい。逃げてはいかないが、ずっと緊張は解かれることはないので注意が必要だ。)

 

 

 

 ポートレート撮影をするカメラマンは皆、カメラマンとモデルとのコミュニケーションが重要であると言うが、猫撮影においても、それは同じだ。最低でも、猫に怖がらせたり、緊張させたりすることは避けたい。

そう言えば、猫写真で有名な岩合光昭さんは、猫を撮影する際には、まずは猫に挨拶すると聞いている。猫には撮影させてもらっているという気持ちを忘れないようにしなくてはならない。

 

 

 

保護猫と野良猫について

 

この港にいた猫たちは、地元の保護会の方たちの愛情により元気に過ごすことができている。それを見ているだけでも、ほっこりして気分がよくなる。だが、ここの猫達も、元々は野良猫であったであろうし、今現在も港では沢山の野良猫を見かける。野良猫の生活は過酷そのものだろうことは想像に難くない。更に、日本国内においても多くの猫が殺処分されているという厳しい現実も忘れないようにしたい。

単純に猫を可愛いと思って撮影するのと、前述のことを理解した上で撮影するのとでは、猫の見方が変わってくるように思う。

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(左耳の先がカットされている猫。保護猫は不妊手術をしている証拠として耳カットをしている。そのため、耳カットされていない猫は野良猫だと分かる。)

 

 

それと、野良猫には決して餌を与えてはいけない。

猫は可愛らしい。猫に懐いて欲しくて、ついつい餌をあげてしまう気持ちはよく分かる。猫は、いつかしらその場所に居着き、繁殖してしまうことありえる。そうなれば、十分な子育てが出来ず、かえって不幸な命を増やすことにも繋がる。どうしても餌をあげるというならば、その猫を自宅に引き取るくらいの覚悟が必要だ。

 

 

猫の撮影で、心がけたこと

 

自分はこれまで猫を飼ったことがないので、あまり猫の生態について詳しくない。それでも、猫の撮影にあたっては以下のことを心がけてきた。

 

まずは

  • 猫を見かけても、いきなり近づいていかない。適度な距離を保つか、猫が寄ってくるまで待つ。
  • 寝ている猫は起こさなようにする。(猫は1日の3分の2ぐらい寝てるらしい)

 

次に、撮影方法

  • フラッシュはたかない(フォーカス補助光も切る)
  • シャッター音は低くするか消す。

 

猫の撫で方について

  • 撫ですぎない。猫を撫でることは、猫とのコミュニケーションの一つ。だいたいの猫は撫でると喜んでくれるが、撫でられすぎると猫も疲れるらしい。表情、目つき、尻尾や耳の状態から判断し、頃合いをみて、撫でるのをやめる。また、足、お腹、しっぽ、腰は、は触ると嫌がる猫が多いので気をつける。  

 

野良猫と港にいる猫に餌を与えない。

  • 理由は前述のとおりだ。 また、象潟港では、港に残っている猫への餌やりを禁止している。なぜなら、せっかく別の場所へ引っ越したにも関わらず、ここで餌がもらえるとなると、港に居ついてしまうからだ。なお、猫が引っ越した先の場所での餌やりは良いみたいである。

 

余裕があれば、保護会への募金

  • 保護猫に会いに行くならば、保護会への募金をする。象潟港猫たちに元気な姿で会えるのは、保護会の人たちの活動があってこそだ。寄附等の直接的なサポートでなくとも、現地の飲食店で食事をする(港近くのレストランは、いつも混んでいるが、とても美味しいのでおすすめだ)とか、象潟のお土産を購入して帰る等、でも良いかもしれない。

 

 

kisakataminatoneko.wordpress.com

 

 

 

撮影を通して感じたことや、今後の撮影について

 

流石に1万枚も撮影していれば、カメラ操作についてはだいぶ慣れてきたと思う。ただ、猫を被写体に決めたにもかかわらず、その猫の何を撮りたいのかという明確なテーマがなかった。写してきた猫の写真は、どれも可愛らしく写っているが、それでも何となく物足りない。(一部ではあるが、当ブログにも象潟の猫の写真を掲載している)

 

フリーペーパーを通して、地域の人たちが世話をする地域猫という存在を初めて知った。その一方で野良猫や捨てられた猫たちの過酷な生活を想像するようになったり、殺処分されている猫が沢山いるという現実も思い出した。

そのような背景もカメラで写し出すことができれば良かったのにと、今では思う。(もちろん、そのような技術はないのだが・・・)

 

数を撮ることは大事だ。だが、考えながら撮影しないと良い写真にはならない。被写体のことを良く理解すること、理解できなくとも少なくともその努力はしなくてはならないだろう。

また、そこに居るのは、猫だけではない。地元の漁師さんも、保護会の人たち、そして猫に会いに来ている人たちもいる。被写体を取り巻く環境も気を配ることができれば、なお良いのだろう。1万枚の撮影枚数は、そんなことを気がつかせてくれた。

猫の撮影が面白いことは十分分かった。だが、とりあえず、象潟での猫撮影は一旦中止することにしたい。もっと、裾野を広げなくては。

 

さて、猫の次は何を撮ろうか。ポートレートはいずれ撮ることになるだろうが、モデル探しに苦労しそうだ。では、全く興味を持ってこなかった、植物なんかいいかもしれないな。あっ、マクロレンズが必要か?

 

象潟の猫の撮影はあくまで一旦中止。撮影枚数5万枚を突破した頃に、また象潟に訪れてみたいと思う。