文具店で販売していた怪しいペンケース
近所の老舗文具店が閉店する。 区画整理によるものらしい。
このお店は、自分も何度か通ったことがある。
知っているお店がなくなるというのは、なんとも寂しいものだ。
文房具で思い出すことがある。
自分が、小学校5,6年から中学の初めの頃だと思うが、有名ミュージシャンのシルエットをかたどった文具が流行った。
自分もBOOWYのペンケースを持っていたと記憶している。
当時の自分は、BOOWYのことを何も知らなかった。
曲は一曲も聴いたことはないし、メンバーの名前すら誰一人知らない。
というか、ペンケースに刻まれているシルエットでしか見たことがなく、本物を見たことがない。でもなんかカッコ良い人たちということだけは分かっていた。
「BOOWYカッコ良い、BOOWYに詳しい人もカッコ良い、BOOWYのペンケースを持っているなら、BOOWY詳しいと思われる。つまり、俺カッコ良い」という理論の元、購入したのだろう。
クラスの間では、BZの文具が圧倒的に人気だったような気がする。
自分が嫌いな女子グループは、Xの文具を購入していたな。
BOOWYは、分かっている人だけがわかればよいみたいな雰囲気があり、それも自分がBOOWYを選んだ理由の一つだろう。
他のミュージシャンの文具はあったのかな。思い出せない。
そういえば、それらの文房具の隣には、必ずアイドルの生写真も販売されていたような気がする。
今思えば、それらの商品は著作権をクリアして販売していたかどうか怪しいところだ。
秋田に来てから、同世代の人間に聞いても、誰も知らないと言うし、このミュージシャンのシルエットをかたどった文具は、自分の地元(青森)の業者が、文房具屋さんに卸していたものなのかもしれない。
昔の文具店には、こういった怪しい商品も扱っていたような気がするが、今では流石に見かけない。
閉店するお店に顔を出してみた。
閉店セールを実施しているようで、商品棚が、がらがらになっている。
特に欲しいものがなかったので、知人の子どものためにノートを数冊購入した。
ノートには、ムーミンの絵が描かれている。正規品である。
老舗文具店か。
そう思い、例のペンケースを探してみたが、当然あるわけはない。
不幸の連鎖を断ち切るには、どうすればよいのだろうか。
今年の春、海岸で休んでいたところ、可愛らしい子猫が近づいてきた。
ここの海岸は、地域の人たちが世話をしている猫たちが暮らしている。 何度か訪れているので、どんな猫がいるのかはだいたい把握しているつもりだ。
ところが、この猫、初めてみる。地域猫の象徴でもある耳がカットされていないので、捨て猫であろうか。
そして、この猫が、やけになついてくるのだ。飼い主でもない自分に。
人間の赤ん坊は、一人では生きていけない。 だから、どんなに酷い親であろうが、必死で好かれようと努力するらしい。
おそらくこの猫は、「愛想を振りまけば、餌を与えてくれるかもしれない。そして、もしかすると自分を飼ってくれるかもしれない。」と思って近づいてきたのだろう。
可愛らしい姿で懐いてこられると、何か食べさせてあげたいと思ってしまうだろう。自分も、正直迷ってしまった。
だが、安易に餌を与えるべきではない。いつかしらその場所に居着き、繁殖してしまうことありえる。そうなれば、十分な子育てが出来ず、かえって不幸な命を増やすことにも繋がる。
何かしてあげたいと思うのであれば、責任をもって保護するべきなのだ。
それが出来ない自分が恨めしい。
飼い猫が、いきなり知らない場所へ捨てられてしまう。その怖さは、どれほどのものだろうか。
食べ物、雨風をしのぐ場所、自分で探さなければならない。
病気になることもある。その時はどうれば良いのだろうか。
子猫はさらに大変だ。カラスが力の弱い子猫を襲うことが、度々あるらしい。 生きる術を知らない捨て猫が、満足に生きられる可能性は低い。
こうした不幸を生み出したのは、当然、飼い猫を捨てた人間である。 捨て猫の過酷な生活を想像することができないできないのか。
そして、捨て猫に餌を与えることも、罪である。善かれと思っても無責任に餌を与えることが、不幸の連鎖を生み出しかねないことを認識するべきだ。